私のブログタイトルである、Almost All the Balkans ;)ときいて、「バルカンって何?」「一体どこのこと?」って思った人が多いと思います。しかし、明確な定義は学術的にも分かれている地域です。現在では、地理的定義と歴史的定義があります。
地理的に言うと、サヴァ川から南, そしてアドリア海、エーゲ海、黒海に囲まれた地域がバルカンといわれています。よって、スロベニア(南部)、クロアチア、セルビア、ボスニア、マケドニア、ギリシャ,ブルガリア、モンテネグロがバルカンといえます。
しかし、歴史的な定義もあります。その場合は、オスマン帝国統治下にあった国がバルカンだとみなすので、スロベニアは除外され、ルーマニアがバルカン地域とみなされます。
Photo1 この明るい部分が地理的に定義されているバルカンといえます!!! |
そもろも、バルカンというのはトルコ語で、「樹木におおわれた山」という意味があり、バルカン地域は山がちな地域であるといえるのです。下に代表的な山脈の写真を載せました。位置関係など、上にのせた地図を照らし合わせてみてみてください。
写真はバルカン山脈です。別名スタラ・プラニナ山脈と言います。セルビアとブルガリアの国境からブルガリア側の黒海まで伸びています。なんとおよそ560kmもある山脈です。
Photo2 セルビアとブルガリアの国境にある場所からの眺め |
下の写真はブルガリアに位置しているピリン山脈。
Photo3 ラズログ渓谷から見たピリン山脈 |
ブルガリアの南部からギリシャへ伸びているロドピ山脈。面白い名前ですね。
Photo4 ロドピ山脈 |
スロベニア、クロアチア、ボスニア、セルビア、アルバニア、にかけて広がっている、大変長い山脈です。
Photo5 ディナルアルプス |
こちらはピンドゥス山脈。アルバニア南部からギリシャ北部にかけて広がっている山脈です。およそ160kmの長さです。
Photo6 ピンドス山脈 |
下の写真はシャル山脈。コソヴォの南部からマケドニア北部そしてアルバニアの北部にかけて広がっています。
Photo7 シャル山脈 |
とっても綺麗ですよね~。これらの山脈は、バルカン山脈を除いて、ほぼ南北に連なっていることが地図を見ればわかります。よって北部から来る民族の移動は容易でありましたが、一旦バルカン半島へ入ると、東西への移動が困難になります。南北に連なる山脈のおかですね。
この位置関係は民族構成にも影響を与えております。バルカン地域の先住民族はギリシア人、アルバニア人、ルーマニア人です。しかし6世紀末に北部からスラブ人が移住してきまして、現在最大多数を占める民族となりました。しかし、ドイツ人、ユダヤ人、アルメニア人、ジプシーなどの少数民族もすんでおり、民族構成は複雑といえます。さらに、各国でそれぞれ母国語がありますから、言語も多数存在します。ただし、セルビア、クロアチア、モンテネグロ、ボスニアは多少の違いはありますが、言語はほぼ一緒。セルビア語とクロアチア語の違い、日本でいうと大阪弁と標準語の違いです。ユーゴスラビア時代はセルボ・クロアチア語として統一運動が行われたこともあるほど似ているのです。
14世紀にオスマン帝国がバルカン半島を支配した後も、この民族の移動と彼らの母国語は途絶えず、文化の多様性を維持したまま、およそ500年の支配を受けました。しかし、前回のブログで書いたようにフランスの影響を受けて、19世紀からトルコの支配が衰え、バルカン諸国で独自性や個性を主張する傾向がみられ、国家建設への道が開けました。
日本でバルカンについて学んだ時、ヨーロッパの火薬庫と習いませんでしたか?民族構成や文化が多様であり、争いの耐えない地域であったと学習した記憶があると思います。しかし、実際、その争いを招いたのは西側の影響ではないかと思うのです。豊かな自然や海を狙ってロシアやイギリス、オーストリア帝国などが、オスマン帝国を疲弊させ、フランスからきたナショナリズムの概念がさらにバルカン地域に国家を建設する運動を招いたと思います。オスマン帝国ではイスラム教徒やトルコ人を優遇する政治体制でしたが、他民族多言語同士、共存した社会を500年も築くことができたのです。
人間、十人十色というように、人によって健康方法、勉強方法、趣味、性格が全然違うように、バルカン半島もバルカン半島なりのやり方があると思います。何も西ヨーロッパのやり方を無理やり真似するんじゃなくて、独自の方法をあみだしたほうがいいきがします
そしてみなさんがバルカンについて、マイナスの固定観念をもたず、プラスの面も知ってほしいなとおもいます。私もまだまだまだまだまだまだまだ勉強中ですけど。
いやはや、長いですね~。今日はこのへんで。
写真
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- 著作権者:aski ライセンス:CC BY-SA 3.0 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/14/Vucha_PAN-HDR.jpg
- 著作権者: Pavle Cikovac ライセンス:CC BY-SA 3.0 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/ec/Orjen.jpg
- 著作権者: Bogdan Giuşcă ライセンス:CC BY-SA 3.0 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/10/Pindus_Mountains_02_bgiu.jpg
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